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2010年1月14日 (木)

プレーヤーとしての栄光と人生

わたしは仕事柄多くの方と接する機会がある。

そんな中で、つい最近何度か話をしたAさんが印象深い。年齢は還暦に近い方である。

結論からいえば、彼は高校時代は静岡県選抜で活躍し、その後日本リーグで10年間プレーしたという方である。もう少し時代が違えば、Jリーガーであっただろう。

そんな話になるまでは、失礼ではあるがとてもそうは見えなかった。さらに重ねて失礼ではあるが、実年齢よりもかなり老けこんでみえた。

ぼそぼそとした感じで話すAさんが、正月の高校サッカーでの静岡代表の話題になった時にがらりと変わった。

予選からの静岡代表チームの選手評価や戦術の特徴などを分析して饒舌に語りだした。

それでも、わたしが「サッカーやってたんですか?」と尋ねると、最初は「まあ…ちょっと…」と口ごもるような感じで言葉を濁していた。

わたしは長男のカズがサッカーをやっていること、頑張ってはいるが控えであることをサラッと話した。それは、いわば会話のつなぎ程度にである。

すると、「息子さんはチーム練習の他にも、自主的に練習はしてますか?」と逆に尋ねられた。そして練習方法まで熱心に解説しながら教えてくれた。

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そこからAさんが自らのサッカー歴を語りだしたわけである。

当時の県選抜では一番足が速かったこと、日本リーグではあのヤンマーの釜本選手をマークし、そのスピードで抑えたことなど控え目にではあるが誇らしげに語ってくれた。

そして、自分がどれだけ人が見ていない所で努力を重ねたかも語ってくれたのだ。

あくまでも、意識的に抑えめに語ろうするのだが、だんだん抑えきれなくなるといった感じがして印象的であった。

彼は11年目のシーズン前に会社から肩をたたかれたそうである。そして、告げられたのは一社員として製造ラインでの交代勤務に従事することだったそうである。

当時の彼には、どうしてもそれが受け入れがたく、大きな挫折感のなかで会社を去ったのだと話してくれた。時折、苦笑いを浮かべながら…

そう言って、最後に「今、息子さんは挫折感を感じてるのかなあ…挫折は…」とつぶやくように言うと、「とにかく練習して頑張ることだよね。」と語ってくれた。

どことなく、自分の人生を振り返っているかのような語り口でもあった。

正直なところ、今のAさんからそんな華々しい過去は想像できない。今が幸せかどうかなどわたしが知る由もなく、自分の物差しで計るのも失礼である。

サッカーが好きであれば、子供たちが夢見る頂点はプロだと思う。その頂きまで登りつめられるのは選ばれしひと握りの人間だけである。

プロまで登りつめたその時点では間違いなく勝ち組である。一度は脚光を浴びる世界まで間違いなくたどり着いたのである。十分にリスペクトされるに値する。

しかし人生は長い…

人生をトータルの収支で考えるのは夢がない。でも、何のためのサッカーなのか、何のための人生なのか…複雑な思いを感じたのである。

上司の付き合いで今日も午前様での帰宅bearing…カズはホットカーペットの上に教科書を広げ、ペンを握ったままでうつ伏せで眠っていた。

人生に正解はない。毎日を一生懸命に、それでいいんだと思う。

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